習慣化には何日かかるのか:「21日」の出どころと研究結果
「習慣は21日で身につく」という説はよく知られていますが、科学的な結論ではありません。よく引用される研究によると、新しい行動が自動的にできるようになるまでの期間は平均で約66日。しかも人や習慣によって18日から254日まで大きく違いました。
「21日」はどこから来たのか
この数字は、アメリカの形成外科医マクスウェル・マルツが1960年に出した『サイコ・サイバネティクス』にさかのぼるとされています。彼は、手術を受けた患者が新しい顔に慣れるまで「少なくとも21日ほど」かかることが多いと書きました。これは診療での観察で、習慣化を調べた実験ではありません。そして広まるうちに「少なくとも」が抜け落ち、「21日で習慣になる」という話に変わっていきました。
3週間という長さは、がんばれば乗り切れそうに感じられます。だからこそ「21日チャレンジ」が人気なのでしょう。チャレンジ自体は悪くありませんが、22日目に習慣が完成するわけではありません。その意味で「21日」は嘘というより、誤解された数字です。
研究ではどうなのか:平均66日
2009年、ロンドン大学(UCL)のフィリッパ・ラリーらが行った研究が、2010年に学術誌『European Journal of Social Psychology』に掲載されました。
- 96人の参加者が、それぞれ新しい行動を1つ選びました。昼食で果物を食べる、食事の前に水を飲む、夕食前に15分走る、などです。
- 12週間、毎日それを実行したか、どのくらい自動的にできたと感じるかを記録しました。
- 研究者はそのデータから、自動化の度合いが頭打ちになる時期を一人ずつ推定しました。
結果は、中央値が約66日、個人差は18日から254日。水を飲むような簡単な行動は、運動のような複雑な行動より早く習慣になりました。また、ときどき1日抜けても、習慣化の流れにはほとんど影響しなかったこともわかっています。
注意点:参加者が多くない研究で、66日はあくまで統計上の真ん中の値です。全員に当てはまる期限ではありません。わかるのは、「21日より長くかかることが多く、期間は人によって違う」ということです。
習慣化を目指す人にとっての意味
- 2〜3か月の計画を立てる。3週間で生まれ変わろうとせず、ひと季節かけるつもりでいましょう。
- 簡単なほど早い。早く自動化したいなら、習慣を小さくし、同じ時間・同じ場所に固定します。具体的な手順は習慣を身につける方法で。
- 1日休んでも失敗ではない。本当に危ないのは「もう途切れたから」と全部やめてしまうこと。ルールは「2日続けて休まない」です。
- 日数より「楽さ」で判断する。意識しなくても手が動き、やらないと落ち着かない。そう感じたら、ほぼ習慣になっています。
21日チャレンジに意味はある?
あります。ただし、ゴールではなくスタートと考えましょう。最初の3週間で行動が日常のリズムに入り、目に見える記録がたまっていきます。そのまま続ければ、2か月目、3か月目に本当の意味で生活の一部になっていきます。習慣トラッカーで記録すると、どこまで来たかがひと目でわかります。
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